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reading report【塞王の楯/直木賞受賞作】心象・考察

塞王の楯

2021/12/17、第166回直木三十五賞の候補5作が発表された。

選考委員会は、2022/1/19だ。

残念ながらボク😅は遅読なので、それまでに全部読んで受賞作を予想するなんてできない。お金もないし。

だから、ネット上の作品紹介だけで予想。というより一番面白そうなのを選んだ。

それがこの【塞王の楯】だ!🤠このコが受賞するといいな。

※注
2022/1/19に、みごと受賞されましたね🥳おめでとうございます。

大まかな内容

戦国時代、どんな攻めをも、はね返す石垣。どんな守りをも、打ち破る鉄砲。「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く。

塞王とは石垣造りの「塞の神」のこと。

滋賀が舞台の話だ。

本編

石の声

2021/12/19...「序」

場面がしっかり『画』で浮かぶ感じ。

クセが強くも感じるが、読み進んで慣れてくれば効果的ではなかろうか。

人々の脚が並んで揺れている。その光景はまるで闇を抱えた森の如くに見える。

p.15

子どもの目の高さから見る人ごみ、背後は火事の様子がゆらゆらと頭に浮かぶ。

子どもが主人公の匡介(きょうすけ)。

石の声を聞く。

石から、何か大切な情報を感じ取る才能がありそうだ。

もう一人の主人公?の飛田源斎。

この人が塞王だな🤔

作務衣を着てそうな雰囲気が頭に浮かぶ。

口と顎に紙縒り(こより)のようなヒゲを蓄えており、川で獲ったこのあるドジョウを彷彿とさせる相貌(そうぼう)。

p.20

こんな感じ?😅

話しぶりから良い人そうだ。

現場至上

2021/12/22...第一章「石工の都」

理想の組織が描かれている。

一人一人が全ての業務を経験し、理解してからそれぞれの職へ専任していく。

客へ引き渡す製品を形作り、仕上げる現場「積方」。

大切なバックアップである「山方」も「荷方」も、「積方」での初期修行を経て専任する。

どの役割の者も『現場』の基礎は理解した上で自分の役を果たす。

「縦割り」の役割分担はきっちりとやるが、各部署が『核心となる現場』を理解しているのだ!

現代の製造会社で言えば、

「製造現場」の基礎を理解してから、設計 や 総務、購買、品質管理、営業、人事などへ振り分けることだろう。

製造会社であれば、やはり製造工程で数年の経験を経て、いろいろな部署へ渡っていくべきだろうね。飛田屋のように。

話はずれるが、

現在のボク🤠の身の回りでは、『現場』からは程遠い部門が幅を利かせている。

物を動かしてナンボの製造業なのに、データしか動かさない部門が偉そうにしてるんだ。

なんかちょっと違うと思う。

爆守備だ!

2021/12/26...第二章「懸」(かかり)

滋賀県の日野にある「日野城」を守るステージだ。

その守りっぷりを読みながら、鉄壁 保クンの「爆守備」を想い起してワクワクした。

どうもボク🤠は「守りに守って最後に勝つ」というスタイルに強く惹かれるようだ。

飛田屋の組織は、「総勢160名」とある。

これは「ダンバー数」だ。

よく統制された組織だったって事なんだろうね。

ダンバー数
ヒトが社会のなかで互いを理解し合い、複雑な関係を維持できる集団の大きさの限界を示す数字で、150人である。

テンミニッツTVの記事より

日野城(中野城)、音羽城、鎌掛城(かいがけ)など、縁もあって滋賀には結構詳しいつもりだったけど😅ぜんぜん知らんかった。

改めて調べましたよ。

三角形を成す「城間」関係。だいたい1~2kmくらいだ。

これらの情報を頭に置いて読むと、すっごく良い感じで読めた。😃

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滋賀県 両雄対決!

2022/1/2...第三章「矛楯の業」

「国友」って、滋賀県 長浜市だよね。「穴太」は大津市。

『大津の要塞 vs 長浜の鉄砲軍団』県内対決!😲やるなぁ。

しかし今回、長浜は悪役みたい。

この本が直木賞獲ったらイヤだろうな😅長浜市の人たちは。

この物語は「最強の攻め」と「最強の守り」の戦いを通して、

『核兵器を皆が持たない世界の均衡』を提案しているように読めるね。

攻める力をもってではなく、守る力をもってけん制し合う、新しい均衡のかたち

ってこと😃ボクのような素人にもわかりやすい構図やね。

むかし、そういうロボットアニメがあったなぁ。基地にバリアが張っててどんな攻撃も跳ね返すんだ。

けれど、スパイからバリアを解除されちゃったりして🙄「鋼鉄ジーグ」だったっけ?

やったらやったで何かしらの手を打つんだよ人間は。

争い、いがみ合いをなくすのが一番好いんだけどね😓ホントは。


大津の宰相、京極 高次(きょうごく たかつぐ)😉やはりな。

やけにしつこく悪口を書いてあるから、こんな事かとは予想できた。

最高に登場シーンを引き立てるパターンやね。

民にとっては、誰が領主でも構わないのだ

至言だ。

大津城、逆流の仕組みが解らない!

2022/1/8...第四章「湖上の城」

『水が低きから高きへ逆流する』

ボク😨の頭では仕組みをイメージできなかった。

「サイフォンの原理」とか「ヘロンの噴水」の応用なんだろうか。本文の説明で図まで作ったのに理解できなかったよ。

ネットで調べまくっても満足いく記事が見つからなかった。

前半のクライマックスだけど、気になって気になって盛り上がれなかったんだ😣悔しい。

「すり鉢」の底を湖面より低くなるまで掘って水の流れを生み、途中で分岐させて他所へも送るとか?😅違う?

もうちょっと優しく説明してぇ~!😆

「塞王」と「砲仙」

2022/1/14...第五章「泰平揺る」

塞王(となる人)...飛田 匡介

砲仙(となる人)...国友 彦九郎

次世代同士のライバル関係がより明確になってきて盛り上がり!

楽しいな。

その陰で光る裏方、段蔵と行右衛門。匡介、彦九郎、それぞれを「若」と呼び、尽くす職人のおじさんたち。

この先この二人がどう対照的に描かれるかも楽しみだ。

目立たず、騒がず、不満を持たず、ただコツコツと事がうまく運ぶようにサポートする。不満を持たずってところに憧れてしまうな。

ペースアップ!盛り上がってきた

2022/1/20...第六章「礎」

これまでどちらかと言うとゆっくり進んできたお話だった。

ここで急に、

打ってきた布石を次々と繰り出してペースアップしてきた。盛り上がってきたゾ。😁

  • 礎となる源斎
  • 国友の最新技術
  • 因縁の甲賀
  • 決戦の大津城入り
  • 西国無双 立花侍従

源斎の偉大さを説明する『扇の勾配』。スゴイってのは十二分に伝わるんだけど🤔イマイチ明確なイメージがわかないなあ。

横から見ると反り返り、まるで扇を開いたかのような曲線を描く石垣 のことをそのように言う。別名は武者返し、あるいは忍返しなどと言う積み方である。
この積み方をするとき、下から三分の二は緩い勾配で直線に積む。下を直線にするのは、そうしないと上で反りを付けた時にひっくり返ってしまうからである。
そして残る上三分の一から一石ずつ丁寧に嚙み合わせ、前へ、前へと押し出して勾配をきつくしていくのだ。すると弧を描いたような反りが出来上がり、源斎の手にかかれば最上部になると、垂直を超えてこちらに突出するに至る。

p.320

たぶん😃イメージはこうだな。

わかりやすい資料はコチラのサイトだ→「勾配と反り」

2対1の構図

2022/1/30...第七章「蛍と無双」

立花宗茂と国友彦九郎の二人がかりで、匡介ひとりに互角って感じ?

あるいは、

立花家・国友は連合することでしか、穴太飛田屋を凌ぐことができないって印象を受ける。

京極高次はとても魅力的に描かれてる😘すきだな~。

夏帆はてっきり匡介の生き別れた妹だと予想してたのに違うみたい🥴引っかけられたかな?

ちなみに、

前述した『扇の勾配』のイメージは少し違っていたようだ。

367ページに追加された説明を加味するとこうだ!

BLSM?

2022/2/3...第八章「雷の砲」

彦九郎が攻め、匡介が受ける。そしてお互いに憎からず思っている。

ホントは好敵手同士の不思議なリスペクトを伝えたいのはわかる。このあたり😅文章だけで表現するのは難しいんだろうな。

言葉にせず、演者の表情やアニメで演技するほうがいい感じになる。

言葉ではっきり書くとボーイズラブ的になっちゃうよ。笑


群衆の恐怖や狂気その心理とパニック状態を、もう少し激しくリアルな緊迫感で描いて欲しかった気もする。

けれど、ここまで暖かい感じのストーリーで進めてきたから不自然かな。

まぁ、おもしろいからいいか😃

見せ場「大津城、対岸勝負!」

2022/2/12...第九章「塞王の楯」

匡介と彦九郎が堀越しに対峙する場面。

時をずらし、互いの目線で、対岸がどう見えているかを描いた。

読み応えあったなぁ。

匡介が「砂利」をもったあとの一瞬の盛り上がりもなかなかコーフンしたね。🤩

カッコよさにこだわった心優しい時代活劇ってところか。

その分敢えて、心の中の奇麗でない部分や、細部のリアリティを犠牲にしているようにも感じた。清いお話を読みたいときには最適な小説やね。😇

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現場に行ってみた!

日野城跡に行ってみた!

2022/3/12追記...現地・現物確認

滋賀県を通る用事があったので、強引に日野をまわって行ってみた!

穴太衆が積んだ「野面積み」を見たかったんだ。

見ると、

大きさや形はチグハグな感じなのに、触ってみるとガッチリ抜けないんだ。

雑然と整然がガッチリ手を結んで、強固で絶妙なバランスを形作っていた。

格好良かったなぁ、

近くに「日野川ダム公園グラウンド」ってのがある。

そこの駐車場に停めて歩いていけたよ。

ふつう城跡なんて行っても面白くも何ともない。

でも、今回はすごく面白く見れたんだ。

やっぱり、物語があると違うなぁ。

源斎と匡介、甲賀衆のことも想い出しながら歩いた。

大津城跡に行ってみた!

2022/4/8追記...現地・現物確認

再度、滋賀県へ。今度は、大津城に行ってみた。

ほぼ痕跡はない。

赤のコーンが残念だ。

かろうじて一カ所、「これは多分、大津城の野面積みだな」と思える石垣を発見。

商店街の片隅にひっそりと残っていた。

確かではないが、そう思いたい🤗信じよう。

位置的に、「大津外堀石垣」ってところだろうな。

ロマンや。

滋賀県に縁深い人はぜひ読んでおこう!

2022/2/16...「終」より

最後はなんか、「ふわっと」した終わり方だったな。

匡介が結婚したって事なんだろうけど、結局一度もはっきり「夏帆と」とは書いてはいなかった。明らかに故意。書かんでもわかるやろ!って言いたげだが。

それにしても、京極 高次について初めて知ったし興味深かった。最後は若狭でキリシタンになったらしい。

滋賀県に「穴太衆」ありと教えてくれた。「国友」は知ってたけど「穴太」は知らんかったもんね。

実のある体験をさせて頂きました🤠ありがとう。

塞王の楯(さいおうのたて)
今村 翔吾

2021年度 下期 直木賞受賞!(第166回)

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作者は、時代小説が ご専門みたい。特に江戸時代の火消しの話が得意なようだ。けっこう沢山書いてる。

直木賞、獲っちゃったね!

2022/1/19、直木賞を受賞しましたね。

滋賀県が大喜び!っと思いきや😅山形県の方が大騒ぎみたい。「羽州ぼろ鳶組」というヒット小説の舞台が山形で、早くから凄く力を入れられているようです。

ところで、「黒牢城」もおもしろそうだなぁ🙄読もうかなぁ。